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~トピックス~
VOL.18 03.3.28(金)
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計画・設計の見直しにおける
『設計の総点検』の意味を考える
前号までで紹介していた【コスト構造改革】プログラム案の概要が、今月20日に明らかになりました。
そこで、今号では『設計の総点検』を中心にその概要について紹介していきます。
概要を詳細にみていく前に、今回の【コスト構造改革】が実施に至るまでの国土交通省の動きを
時系列をおってみていきましょう。
H
9 . 4.
4 「公共工事コスト縮減対策に関する行動指針」決定
H10. 4.
1 新技術活用促進システム構築
H12. 9.
1 平成9年度~11年度の取り組みによる成果を踏まえ
新行動計画策定
H13 .3.30
省庁再編により、国土交通省としての新行動計画策定
H13. 4. 1
新技術情報提供システム(NETIS)スタート
H14. 9.
5 平成13年度の成果発表
公共事業コスト縮減効果の試算として『無水掘工法』の工事例紹介
H14.12.20 コスト構造改革の数値目標を設定
「平成15年度から5年間で、15%の総合的コスト縮減」
「事業のスピードアップ」「設計の最適化」「調達の最適化」を3本柱とする
検討案発表
H15. 4. 1 コスト構造改革実施
「設計の最適化」の中の“計画・設計の見直し”における『設計の総点検』は、
平成14年度1月から試行段階に入りました。コストダウン効果の大きい設計分野
への期待の高さが窺えますね。それでは、『設計の総点検』について現段階での
状況を詳細にみていきましょう。
まず『設計の総点検』の具体的内容はどの様になっているのかをみていきましょう。
1月15日の建設工業新聞を参照して、各段階の及ぶ範囲とその点検内容を
整理してみました。
|
範囲 |
点検内容 |
予備設計 |
概略の設計・事業費算出が完了してから、地元への計画の説明・公表を行うまでの段階 |
費用対効果・需要予測・時期設定の妥当性。 周辺事業との連携の可能性。構造物の位置が適当か。 将来予測に適した構造規格になっているか。 維持管理を考慮した設計になっているか。 用地費を含めコストミニマムになっているか。 ⇒仮に予備設計が点検項目に合致していない場合は事業の見直しなどもある。 |
詳細設計 |
地元説明・整備計画の公表を経て、測量立ち入り後、現地に適合する詳細の設計を実施し、同時に用地買収が完了するまでの段階 |
設計が性能規定化されているか 構造物の設計が過大になっていないか ⇒結果次第では地元との再調査に乗り込む |
発注 |
発注用の設計・数量計算を終了し、積算が完了するまでの段階 |
設計の観点から適正な発注規模(ロット)になっているかどうか。 |
施工 |
工事の契約締結後、工事準備または一部着手している段階 |
⇒発注者側から設計を見直す場合:契約変更扱い ⇒請負者側から設計を見直す場合:『契約後VE』 管理費請負側に還元 |
建設マネジメント技術(2003.3月号)より抜粋
◆◆設計の総点検を試行 問題点の洗い出しを◆◆
公共事業コスト構造改革の一環として、『設計の総点検』を
3月中旬まで試行することを決め、1月14日付で地方整備局
に通知した。
すでに設計が進められている直轄事業に関し、コスト縮減の検討が
不十分なまま施工する懸念があることから、予備設計から施工に至るまで、
各段階でインハウスにより点検し、コスト縮減の促進と精度向上を図るのが狙いで、
平成15年度の1年間実施。
試行は4月からの本格的運用に向けて、設計の総点検要領(試行案)に基づき、
実際の事業で実施し、課題や問題点を事前に洗い出すのが目的。
予備設計・詳細設計・発注・施工の各段階で実施する。
各地方整備局においては、業務発注時に国交省NETIS等を利用して
「新技術活用計画書」を作成するよう特記仕様書で条文を明記しています。
併せて設計業務を含むコンサルタント業務の成績評定要領も改訂されました。
設計担当者は、新技術・新工法を積極的に採用し、総点検にも
対応できる設計のあり方が求められているようです。
『無水掘工法 副題:ロックアンカー工、ロックボルト工における削孔システム』(『国
土交通省-NETIS』に詳細記載)で施工を行う事により、安全施工、品質の向上、工事
コスト低減34%、工期短縮38%等、ライフサイクルコスト、社会的コスト縮減を実現し、
一箇所でも多く土砂災害を未然に防ぎ、安心して暮らせるまちづくりを目指しましょう。
【編集室より】
今回は『設計の総点検』に焦点をあてて、その具体的内容を紹介しました。このような点検内容と
併せて、前号で紹介したとおり、新技術・新工法の活用を推進していく必要があります。
これに沿って「より良く、より安く、よりタイムリー」に社会資本整備を進めていきましょう!
次号は、「調達の最適化おける『積算の見直しについて』」(仮称)を予定しております。